『企業の仮想データ統合を実現する』 スマートインサイト株式会社 SMART/InSight Corporation


2017年02月21日「フロントローディング」によるユースケース(1)

「フロントローディング」とは

具体的なユースケースその1ということで、今回は「フロントローディング」と言われるユースケースについてご紹介します。利用部門は製品開発・設計部門が主なユーザとなって利用されるケースです。
対象となるデータは設計領域にある情報はもちろんのこと、この図に現れているように、顧客からの声、例えばクレームやから販売サービスにて得られる情報、あるいは資材購買という他部門の情報までも広く含まれるケースがあります。
目的としてあげられるのは、品質を担保した設計を行うために必要な情報や、流用設計をスムーズにして行くための情報などが含まれます。

設計に起因する不具合

フロントローディング:2つの方策

方策1. シミュレーション/MBDにより、後工程で発見される問題を事前に解決する
方策2. 設計時に関連する情報(過去の事例/顧客の利用状況等)を漏れなく参照し、
    組織において蓄積された知見/経験知を初期段階において反映する
MBD:Model Based Development (モデルベース開発)

ここで一つユースケースの前提を整理しておきましょう。組立製造業で「フロントローディング」と言った場合に有効な施策として二つあげられます。一つはデジタルシミュレーションやモデルベースとデザイン(MDB)などによって、3次元モデルを利用して設計段階でできるだけ具体的な形を見て後工程で発見される問題を炙り出して早い段階で解決策を講じてゆくというものです。これは設計段階で、実際に起こりうることをどのくらい具現化できるかということに関わりますが、非常に効果のある方法ということができます。
さらに、私たちが注力してご支援している「フロントローディング」とはここにあるように「設計時に関連する情報をできるだけ網羅してもれなく参照し、その知見や経験値を初期段階で利用するということにあります。

ここに国土交通省が毎年調査報告を出している「リコール届出内容の分析結果について」という報告書があります。
平成26年度の報告書によると「全体の不具合発生原因別のうち「設計」に該当するものが64.4%で、発生件数は前年より30%、5年間の平均値より24%増加しているということです。ちなみに「製造」に起因するものは34.$%で増加率は少ないと報告されています。
「設計」に起因する不具合のうち「設計自体」という項目が最も多く、「耐久性」「性能」という順に続きます。さらに「設計自体」に問題があったものの中では「評価基準の甘さ」という要因が過半数を占めているという内容になっています。
現象として何か品質に問題が起きている内訳に設計に起因するものは無視できないものとなっていることが分析されています。
(出典 「平成26年度 リコール届出内容の分析結果について」  平成28年2月 国土交通省 自動車局)

フロントローディングのユースケース

「フロントローディング」を進めて、後工程や製品として市場に出た後に問題を把握し解決するのではなく、初期段階で可能な限り過去の知見や経験値をチェックして問題となりそうなところを抽出し、対策しておくということで、このような状況を少しでも解決することが目的となります。

私どものお客様に伺う中で、この課題を取り巻く環境として以下のようなお話を伺うことが多くあります。

  • 設計業務を進める上では多様な情報を集めてQCDを積み上げてゆくが、設計者がこなす間接的な業務量(およそ60%近いかもしれない)が多く、なかなか本来の情報収集や読み込みに時間が取れない
  • 開発・設計では「品質の早期立ち上げ」「企画意図の確実な把握」「未然・再発防止の徹底」ということを意識しているが、なかなか実践的に実現していかない現実がある
  • CADやPDM / PLM、基幹業務システムなどは整備されてはいるが、ここに流れていない情報(例えばファイルサーバー・グループウエア・手元PC)やコミュニケーションを含めて仕事が進んでいる実情がある。
    総じて、定型的な情報システムはもちろん必要ですが、それ以外に使っているデータや情報、あるいは他部門とのコミュニケーションから得る情報なども含めて的確なタイミングで、極力手をかけずに入手することができる環境整備が重要だということです。

ここまでの内容を基にして、私どもがお客様にご提案し、検討を頂く際のユースケースを図にしてみました。
解決したい直接的な課題は

  • 製品開発に関する情報が散在していても迅速に参照し、効率的な開発・設計業務を進めたい。
  • 過去の知見をタイミングよく活用できるように情報環境整備を進めたい
  • 製品構想、設計/開発、製品評価における各種情報を設計者が的確なタイミングで把握したい

対象とする情報はこの図にあるように広範囲に渡りますので、元々のシステムに影響を与えることなく…例えば、過去の不具合に関する知見などの「関連情報を即座に得て上流で問題解決(フロントローディング)」に役立てたり、情報を開発・設計という初期段階に集約できるようにすることにより設計品質の向上、生産性の向上、製品開発期間の短縮を実現してゆくということになります。

次回、Mμgenコラム第8回 フロントローディングについて(2)

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