『企業の仮想データ統合を実現する』 スマートインサイト株式会社 SMART/InSight Corporation


2017年02月28日「フロントローディング」によるユースケース(2)

PLMとフロントローディング

一般的に言われる製品ライフサイクルマネジメントは、製品の全ライフサイクルに渡るマーケティング手法です。これを支える情報システムがProduct Lifecycle Management (PLM)という仕組みだという形で定義されています。ここにWikipediaに掲載されているものを抜粋してみましたが、製品に関わるほとんどすべての情報をマネジメントする仕組みだと言えます。前回テーマにした「フロントローディング」のデジタルデザインと併せて情報を設計・開発工程に集約するためには、シンプルにこのようなPLMの仕組みを構築して設計・開発エンジニアが上流工程で作り込むという業務運用をしてゆけばことが足りるように思われます。このように考えてPLMを導入する企業がほとんどではないでしょうか。

「ミクロの製品ライフサイクル」

一般に、生産財や消費財を市場投入している企業(たとえば製造業)の、製品(プロダクト)を基軸に、製品の企画段階から、開発、製造、生産準備、調達、生産、販売、保守といった部分を指す。
この範囲における製品ライフサイクル全般において、製品情報を一元的に管理していく業務改革の取り組みが、プロダクトライフサイクルマネジメント(以下PLM)である。日本では、製品ライフサイクル管理や商品ライフサイクル管理と呼ばれることが多い。
加えて、このPLMの概念を、情報システムとしてとらえると、製品/商品に関係するコスト削減、市場投入期間の短縮、品質のさらなる向上を支援するためのアプリケーションシステムとなる。
たとえば、製品(商品)情報に関係する、技術文書管理・ワークフロー管理・構成管理・変更管理・プロジェクト進捗管理・ナレッジ管理・部品管理・要件管理・製造プロセス管理・文書配信管理等である。
すなわち、PLMとは企業の収益確保に貢献するための、かつ、高付加価値な製品を生み出すための、重要な戦略情報システムとして位置づけられている。(Wikipedia 「プロダクトライフサイクルマネジメント」より抜粋)

フロントローディングとPLMの課題

一方で私どもの仮想データ統合技術を使ったMµgenがこの分野のユースケースを持っているのはどのような背景によるのかということを説明しておきたいと思います。
参考までにここに非常に興味深いアンケートがあります。日経BP社が2010年に製造業の現場の実態を色々な角度から調査したデータです。2010年からすでに7年経っていますが、これをご覧になっていかがでしょうか。課題は確実にこなされて進展しているとはなかなか言い切れないというのが、私どものユースケースに「フロントローディング」というテーマが上がってきているということのようです。

「日経ものづくり調査:数字で見る現場」
http://corporate.nikkeibp.co.jp/information/newsrelease/newsrelease20100830.shtml

特に図3のアンケート結果を見てみるとその背景が非常によくわかって頂けるでしょう。
http://corporate.nikkeibp.co.jp/information/newsrelease/newsrelease20100830.shtml#zu3 

本来一箇所に製品すべての情報があるはずなのですが、30%前後のアンケート対象者が「システム間の連携ができていない」「データがうまく共有できていない」「特定の部門ばかりに負荷がかかる仕組みとなっている」という答えになり、「部門間、企業間での意思疎通の支援とならない」「管理できるデータが限定されている」という回答が20%強となっています。

多忙な設計者が情報を的確に把握して、見落としなく反映してゆくという課題にはPLMもなかなかこれを実現させるのは難しいのではないかということだと考えられます。
ある調査では設計者の業務時間の60%が間接業務で、直接設計業務に携わっている時間はおよそ40%程度という結果が出ています。これを効率化してゆく施策がフロンローディングを必要とする直接的なニーズということになります。

間接業務の効率化と狙う効果
  • 情報収集/検索の迅速化 =>業務スピード向上
  • 情報の参照漏れの防止 =>品質の作り込み
  • 気づきの向上による不具合対応 =>品質の作り込み
  • やり直しの低減 =>ロスコスト低減
  • 同一情報の参照によるコミュニケーションミスの低減 =>ロスコスト低減

フロントローディングにて品質ロスコスト発生を防ぐための方策

間接業務を効率化することで狙う効果という観点で少し説明をしてゆきます。設計・開発エンジニアの間接業務をフロントローディングの仕組みを取り入れて効率化してゆくことで「品質の早期作り込み」という効果を狙うということがあります。メリットとしてはこのような点が挙げられます。

  • 製品の品質は、「設計/開発/評価」の後半から「生産準備/生産」の前半までに数多くの設計変更を行うことにより高められる
  • 不具合の発生による品質ロスコストは、「設計/開発/評価」で品質問題が発生した場合の対応コストを1とした場合、「生産準備/生産」は10倍、「市場」では100倍となる

また製品のコストについてもこのような観点で対策を進めてゆくことが求められています。

  • 設計、開発、試験、プロセス設計、生産の各工程において、「コストの発生」は、生産が製品ライフサイクル全体の85%占める
  • 一方、「コストの確定」は、設計と開発で全体の80%を占める
  • 設計/開発の段階で、製品ライフサイクルコストの80%が確定するため、この段階を最適化/効率化することが最も重要

仮想データ統合による「フロントローディング」の仕組み

ここに挙げましたが、「フロントローディング」のシステムイメージをご覧頂けば、これまでご説明してきた効果はより具体的になるのではないでしょうか。

フロントローディングのシステムイメージをご覧頂けばその効果はより具体的になるのではないでしょうか。

<業務システムが複数ある場合>
  • 情報を参照しようとした場合、「システム毎に情報を検索」し必要な情報を取得
  • 各システムにおいては、同じ意味でもシステム毎に異なる表現をすることもある
    例:品番=部品番号=部品コード=品目番号
<Mµgenによりフロントローディングが実現している場合>
  • 仮想データ統合では、各システムにおけるデータベースの定義情報のみを取得
  • 取得された定義情報に対して、対応する項目(同じ意味の項目)を判断し関係付け
  • この関係付けにより、個別にシステムを参照することなく、「一度に全ての情報を検索」することが可能

「フロントローディング」というユーズケースについてご理解頂けたでしょうか。
少し間を空けることにはなりますが、次からまた新たなユースケースをご紹介していきたいと思います。

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